WEBとリアルを連動させた営業プロセスを

【第5章】グーグル営業で売れる仕組みを強化!

10.WEBとリアルを連動させた営業プロセスを

しかし、グーグル営業で一番大切なのは、WEBとリアルを融合した営業プロセスを構築することです。

WEBだけ、リアルだけで完結するのではなく、両方の特性を活かして、勝率をあげていく取り組みが必要です。

そのためには、アクセス解析やSEO対策に取り組み、確度の高い見込み客を誘導するホームページをつくり、そのフォロー態勢を構築すべきなのですが、そこまで実現している企業はまだ多くはありません。

たとえば、現在、ほとんどの企業が次のような状況でしょう。

つまり、リアルでの売れる仕組みはある程度できているものの、WEBの仕組みは、最初の集客からつまずいているため、ステップ2以降がストップしている状態です。
これは、「会社案内型」のホームベージによくある現象で、企業メッセージ、社長あいさつ、会社概要、事業紹介、製品の説明というオーソドックスな構成では、なかなか集客できません。

問い合わせ自体が少ないため、メールマガジンで見込み客を取り込もうとしても読者は増えず、当然、商談にも結びつかないわけです。
なにより間題なのは、WEBとリアルがまったく連動していないことでしょう。

両方のメリットを取り入れつつ、業樋・業態に即した営業スタイルに変えていく必要があります。

それでは、連動していくには、どうすればいいのでしょうか。

これは組織で収り組む戦略で、営業マン個人ではむずかしいのですが、ソフトブレーン・サービスで実際にコンサルティングを実施し、成功している3つのタイプをご紹介しましょう。

【タイプ1】新規顧客はホームベージで開拓

ルート営業がメインのうえ、営業マンは既存客のフォローで精一杯。新規開拓に時間を判く余裕はないという企業や、そもそも営業マンの数が少ない中小企業の場合におすすめなのがタイプ1です。

リアルでは集客をおこなわず、ホームページ経由で問い合わせがあった段階から、営業マンが対応。
会社案内型の構成をやめ、集客できる仕組みを盛り込んだホームページにつくりかえました。

これは、福井県に本社のある松原産業のケースです。

明治8年創業。発泡スチロールの製造・加工を手がける老舗で、北陸・近畿圏内では80%ものシェアを誇る優良企業です。

逆にそれだけのシェアがあるため、地元周辺で新規開拓するのは至難の業。アフターフォローもかなり重要で、営業マンは既存顧客の対応に追われていました。
そのため、新しい販路の開拓は、ホームページにまかせようと割り切り、あえて不特定多数のターゲットを対象とする新しいサイトを立ち上げました。

ターゲットを広げると、予想外の案件が飛び込む場合もあり、リスクも大きいですが、松原産業は「発砲スチロールであれば、1個からでも請け負う」という柔軟なスタンスが強みでした。

ホームページでは、発砲スチロールに関する豊富な情報を整頓。見やすさとスムーズなナビゲーションに配慮しながら、無料見積もり、無料サンプルを配布するシステムを整え、トップページで大きく目立つように打ち出しました。

立ち上げからまもなく効果は表われ、今では日本全国から月100件を超える問い合わせがくるようになりました。
見積もり依頼があるお客様は緊急度が高いので、そこから対応していけば、営業マンの負担もぐっと減らせます。

予想外の依頼も舞い込みましたが、新商品のヒントにつながるなど、受注以外のうれしい副産物もあり、順調に成果を上げています。

【タイプ2】見込み客フォローをメールマガジンで

既存客から新たな発注を受けたい。見込み客のニーズを喚起し、今すぐ客にしたい。そういう目的でデータベースを整備し、WEBと連動した営業プロセスを構築した企業もあります。

顧客リストがあっても、冷やかし客や休眠客が多数を占める場合も多いものです。そこから、営業マンがコンタクトを取り、新たなニーズを掘り起こしつつ、商談にこぎつけるには膨大な手間と時間がかかります。

そこで、顧客リストを整備したうえで、メールマガジンを発送。そこから、絞り込んで商談に持っていくのが、タイプ2のパターンです。

特殊金属工クセルは、精官金属材料を製造・加工する会社で、ステンレスや銅などを薄く延ばし、コイル状に巻いた金属パーツなどを扱っています。
0,01ミリという極薄の素材も扱い、高品質な部材を顧客の要望に応じて作成してきました。

既存顧客を中心に営業を続けるかたわら、新規顧客の開拓を試みようとホームページを立ち上げましたが、典型的な会社案内型の構成。WEBからの問い合わせはほとんどなく、新しい販路はなかなか広がりませんでした。

ヒアリングしてみると、展示会やセミナーなどで、営業マンが名刺交換した顧客だけでも相当な数。2年間分の名刺を集めると、5000枚にのぼりました。
それをまず、データベース化し、新規サイトの開設と同時にメールマガジンを送信する戦略を立てました。

業務内容が特殊なジャンルですから、二度でも接触があった企業をターゲットとするほうが効率的であろう、「カムバック・サーモンの法則」が該当すると予想しました。
ホームページでは、会社の持つ技術・商品の強みをわかりやすく打ち出し、情報を整型。

製造業の顧客も多いため、金属材料の説明パンフレットや材料表無料配布のお知らせをトップページに掲載。SEO対策やキーワード広告にも取り組みました。
5000通のリストにメlル配信したところ、引き什いが殺到し、試作品の発注がすぐ決定。今でも毎日刊件前後の問い介わせがあり、7%という高い成約率が続いています。

問い合わせに関しては基準を設け、3段階にランク分けしていますへAランクの今すぐ客から対応することで負担を軽減。順調に成果をあげています。

驚いたのは、中国や韓国、台湾などからも引き合いがあったこと。以前は、99%が既存客でしたが、新規顧客を確実に獲得するようになりました。

【タイプ3】営業マンは見極め後の商談のみに集中

営業マンは商談だけに対応。その他のステップはすべてWEBにまかせるという、グーグル営業の強みを最大限に活用したのが、タイプ3です。
創業後間もないベンチャーや中小企業など、営業マンが少ない会社に有効なスタイルでしょう。

まず、ホームページを見て、問い合わせやメルマガ登録をした人を「見込み客」と判断。即、フォロー態勢に入ります。

具体的には、

●定期的に送付するメールマガジン
●回数限定のステップメールで有益な情報を発信
●セミナー参加を、つながし、商品に興味がわけば商談

と段階を踏み、引き合いがあった時点で初めて営業マンが登場。必要性や緊急度の見極めができた段階で商談にのぞみます。
成約後も定期的にメlルを送信。しっかりとフォローする態勢を整えたのが特徴です。

インフォテクノスコンサルティングは、企業の経営・営業・製造・管理などのシステム設計、コンサルティングから運用までを手がけるITベンチャーです。
受託開発がメインですが、新しい概念でつくられた人事情報のパッケージソフトが誕生。その販売に頭を痛めていました。

社10人の小さな会社で、この製品の営業マンは基本的に1人。
ITベンチャーだけにしっかりしたホームページがありましたが、受託開発を依頼する企業とパッケージ製品を導入する企業ではターゲットが速い、別の取り組みが必要と感じ始めていたところでした。

そこで、製品独自のホームページを立ち上げることにし、商談以外の3つのステップをすべてWEBで対応するという大胆な方法にチャレンジする戦略をとったのです。

インフォテクノスの強みは、豊富な情報提供力です。

そのためにまず人事考諜のデ1タを企業の戦略に活かす充実した内容のレポートを作成。
これを無料で進呈しますが、請求の際にメlルアドレスを登録する仕組みにしました。

つまり、営業マンが名刺交換するのと同じ役割を、WEB上でできるようにしたのです。

アドレスが入手できれば、メルマガやステップメlルを継続的に配信。興味があればセミナーに足を運んでもらう作戦です。
メルマガもPR色を排し、密度の高い情報が詰まった読み物的な構成をねらいました。

セミナー参加の段階ではかなりニlズが高まっているので、商談にも進みやすく、そこで成約しなくても、引き続きフォローメlルを送る態勢を整えました。
人的資源が限られているからこその戦略でしたが、新サイト立ち上げ後は月初件もの問い合わせがくるようになりました。

売上げは前年比で2・8倍に。たった1人の営業マンでここまで成果につながりました。
仕組みを構築すれば営業マンの負担を抑えつつ、結果が出せる。ホームページは優秀な営業マンの役割も来たします。

タイプ1~3は組織的な取り組みですが、参考になる部分も大いにあるのではないでしょうか。
WEBとリアルの営業活動を融合した「グーグル営業」のエッセンスが実感としてわかると思います。

身体が1つしかない、時間が足りない。

そういう営業マンのためにもWEBは頼もしい相棒になってくれます。WEBとリアルを上手に連動させる営業スタイルを確立することが、これからはますます重要になってくるでしょう。

 
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