ご用聞き営業、押し売り営業は通用しない時代

【第1章】仕組みづくりで業績を伸ばせ!

1.ご用聞き営業、押し売り営業は通用しない時代

営業は足で稼ぐ。客先には、とにかく毎日顔を出せ。そういわれた時代がありました。
たとえば、クライアントに日参して信頼関係を築き、「そこをなんとか」と粘り、熱意をアピールし続け、「わかった。お前がそれほど勧めるなら」と買っていただく。
あるいは、「今月はノルマが厳しいのです。助けてください!どうか私を男にしてください!」と泣きつき、男気のある社長に「YES」といわせる。
トップセールスマンの本には、その手の「武勇伝」や「根性」「熱意」を押し出した浪花節的なノウハウがよく書かれています。
エピソードとしてはおもしろく、感動的なドラマに心が動く部分もあります。
しかし、その手は、もう古い。「押し売り営業」は時代遅れのスタイルです。

また、営業マンが顔を出していれば、注文がもらえる。顧客と仲よくなって、注文をとる。
こういう「ご用聞き営業」や「モノ売り営業」もすでに通用しなくなっています。セールストークやコミュニケーションで売れる時代は終わりました。
モノのない時代は、営業マンが新しい製品やサービスという「情報」を運んでくるため、ご案内をするだけ、あるいは「ご用はございませんか」と聞いてまわるだけで、売れる時期もあったのです。
しかし、今ではモノがあふれ、機能もそれなりのレベルに達しています。商品やサービスの差別化が困難になっているのです。
しかも、長引く不況で経賀削減はもとより、設備投資の抑制も恒常的になっています。
本当に「売る」のがむずかしい時代に突入しました。
一般的に人が購買を決める要素には、次の3つがあります。

1商品 ・・・商品自体が持つ魅力(機能・利便性・デザインなど)
2人  ・・・営業マン(好き嫌いやパーソナリティなど)
3売り方・・・販売方法(商談スタイル、広告・宣伝を含めたアプローチの仕方など)

すでにお話ししたように、1の「商品による差別化」はむずかしい。画期的な新商品など、滅多にありません。
付加価値での勝負もしにくく、自社商品と競合他社の商品を比較しても、決定的なアピールポイントが見つからないのが現状でしょう。
押し売り営業、がむしゃら営業というのは、あくまでモノ本位。今となっては、よほど商品に魅力がない限り通用しない営業スタイルなのです。
しかし、2と3には改革の余地が十分にあります。商品そのもので勝負するだけではなく、2と3の強化が競争優位性を高め、結果を出すことへの意外な近道です。
営業マンが関わる意味はまさにそこにあるのです。

 

工藤龍矢書籍『勝てる!戦略営業術』より

 
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