「ニーズの全容」の把握から始めよう

【第4章】ソリューション営業で顧客の信頼を獲得!

2.「ニーズの全容」の把握から始めよう

ところで、「お客様のニーズ」とはなんでしょう。
「ニーズ」とひとくちに言いますが、漠然としたヒアリングでは先方の要望を掘り起こすのは簡単ではありません。
ここでもやはり「分解」しながら探っていくと、本質に迫りやすくなります。
お客様の「ニーズの全容」を把握するには、次の4つの要素に注目してください。

〈ニーズの全容を理解する4つのポイント〉
●ポイント1 間題 →現在、抱えている問題点(~で困っている)
●ポイント2 ニーズ→求めている具体的な欲求(~したい、~が欲しい)
●ポイント3 ゴール→最終的に達成したいこと(そうなるのが望ましい)
●ポイント4 背景 →現状を招いた理由・環境(なぜそうなったのか?)

たとえば、ソフトブレーン・サービスの商品である、営業支援ソフトを例にあげてみましょう。

これを新規のお客様にアプローチをかけ、売り込むとします。ヒアリングの際はさまざまな角度から質問を投げかけて、「ニーズの全容」を把握しなければいけません。
4つが全部埋まらないうちはお客様の「ニーズ」を理解したことにはならないのです。

〈お客様の「ニーズの全容」を引き出す質問の仕方〉
●ポイント1 問題(~で困っている)
Q「どういう点にお困りですか?御社の課題はなんですか?」
A売上げが長期的に低迷している。新規開拓も思わしくない。
営業マンの入れ替わりも激しく、顧客情報・商談情報も蓄横されない。

●ポイント2 ニーズ(~したい、~が欲しい)
Q「どうしたいとお考えですか?何が必要だと思われますか?」
A売上げ向上の打開策が必要である。
営業情報を効率的にストックするシステムも整備したい。

●ポイント3 ゴール(そうなるのが望ましい)
Q「理想的には、どうなるのが望ましいとお考えですか?」
A既存客のリピート率が向上。新規開拓も順調で売上げが回復する。
営業マン個人に依存しない顧客情報がきちんと管理できる。

●ポイント4背景(なぜそうなったのか?)
Q「なぜそうなったのでしょうか?原因はなんだったのでしょう?」
A景気の悪化。場当たり的な営業で顧客フォローがほとんどなされていない。
属人営業の比率が高い。営業マン教育の不備

誤解を招きやすいのですが、ソリューション営業=問題解決と思い込み、問題だけ把握すれば十分、と早々にヒアリングを打ち切ってしまうケースがあります。
しかし、お客様の問題を理解しただけでは、成約にはつながりません。

ここでまず注意したいのは、「欲しい」という欲求を喚起しなければ、結局、賊貿には結びつかないということです。
お客様、身も「問題」、つまり肘っている点は、具体的に感じているでしょう。こうなったらいいなという「ゴール」、望ましい状況もある程度、イメージできているはずです。
しかし、問題をどうやって解決すべきかは漠然としている。答えがわからないから、問題を抱えているのであり、現状が打開できないわけです。

クライアントという言葉は、ドイツ語のクランケ(患者)に由来するといわれていますが、患者自身に病気を治す処方菱は書けません。
お客様が置かれている状況を客観的に理解し、どうすればいいかを一緒に考える。そして、解決策を提案する。
つまり、営業マンはドクターであり、コンサルタントの役割を果たすわけです。ご用聞きや使い走りでなく、相談される存在になってこそ、プロフェッショナルです。

ニーズが多様化・複雑化し、モノがあふれて差別化できない時代に、営業マンという生身の人間が関わる意味は、そこにあると確信しています。
私は「ラストワンマイル」と呼んでいるのですが、営業マンは、商品やサービスとお客様をつなぐ架け橋c企業のマーケティング活動において、最後の一歩を埋める存在です。
そこに営業という仕事のやりがいがあり、お客様の問題解決をお手伝いする喜びがある。そういう意識で「ソリューション営業」に取り組んでください。

 
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