全体予算を知ってシェア獲得をめざせ
【第2章】ルート営業こそ、営業の王道だ!
5.全体予算を知ってシェア獲得をめざせ
継続的な取引があれば「それでよし」とする営業マンは珍しくありません。
たとえば、A社との取引がここ数年来、100で推移しているとしましょう。
減らない代わりに増えもしない。対前年比がマイナスにならないだけで満足してしまう場合が多いのです。
しかし、A社は、あなたの会社であるB社にだけ発注しているのでしょうか。
同業のC社・D社・E社とも取引があるなら、拡大余地があるはずです。
つまり、あなたが属するB社は5%のシェアしか、独得していないのです。
これを、7%、10%、15%と拡大していくことは、新規開拓に比べてかなり見込みがあるはずです。
ところが、絶対に押さえるべきポイントである購買ボリューム、「顧客の全体予算」や「取扱量」を把握していないケースも意外と少なくありません。
他社への発注量のほうが多い理由はなにか。
会社の規模や製品の機能・品質、納期などが考えられますが、「営業マンの対応力」が分かれ目になっている場合も多い。
急ぎの案件には納期を早める。少量を分割して配送してくれる。請求のタイミングをこちらの締め日に合わせるなど、クライアントの都合を汲み取って、いわゆるかゆいところに手が届くような対応が好評だったという場合もあります。
折りに触れてなんらかの提案をするなど、おたがいの業務改善をしていこうと努力する姿勢が好印象ということもあります。
判で押したように「ここは100だから」という対応で訪問してくる営業マンと、フレキシブルに対応してくれる営業マン。どちらが好かれるかは明らかでしょう。
すでにお話ししたように、現在では製品やサービス自体には違いがなくなっています。
カギを握るのは「人」と「売り方」です。顔を出す頻度や粘り、押しなどではありません。
お客様のビジネスへの理解度、それに基づく貢献度による部分が、結構大きいのです。
ちなみに当時のアサヒビールの年間広告予算は400億円でした。そのうち電通が200億円、博報堂が100億円、残りを他の広告代理店で分けるという構造です。
しかし、昔からそうだったわけではありません。
当初、6億円だった扱いを100億円にまで伸ばしてきた先誰がいたのです。
発売直後より熱心に関わり、スーパードライのことなら担当者よりも詳しく、販売戦略をクライアントよりも考えているといわれたKさんという存在があったからこそ、取引高が伸長しました。
クライアントが耳を傾ける提案を続け、それが認められてきた結果が100億円、シェア25%の獲得につながったのです。
顧客の全体予算を知り、シェアを拡大していくことは売上げアップの確実なチャンスです。